【 金子M彦さん/大学生:19才 】
●皆さんは、鏡で恐い思いをしたことがありますか? 誰もいない部屋で鏡を見て、そこに知らない顔が映っていたらどうしますか? ある日僕が、なんとなく鏡を見てしまった時の恐怖体験を聞いてください。 ●僕は今年になって、東北の某県から都内に進学してきた大学一年生です。現在、葛飾区にあるワンルームの安アパートで一人暮らしをしています。もともとこのアパートは僕の兄が住んでいました。四つ年上の兄も大学生時代をここで過ごし、就職と同時にここを出ることになりました。そして運良く現役で大学に合格した僕が、大家さんの許可をもらって入れ替わりで入居できることになったのです。 ●東京に来てからの生活ですが、親からの仕送りだけではお金が足りず、僕は週に三日だけ近所のコンビニでバイトを始めました。時間帯は、時給が高い深夜の7時間。明け方は少し眠くもなりますが、まぁ、そこは若さでなんとか…。 そして数日たったある日のこと、バイトが終わって部屋に帰り、仮眠をとる前に洗面所で歯を磨いていました。そして何気なく鏡を見ると、何かが変だったのです。そこに映った自分の「顔」がです。ふだん見なれている自分の顔とは、どこか少し違って見えたのです。僕は目をパチパチさせました。でも決して睡魔が襲ってきていたのでも、疲れて目がかすんでいたのでもありません。その証拠に、鏡に映ったその顔が、ニッ!っと笑ったのです。僕はたまげました。腰が抜けるような驚きというのは、こんな時のことだと思います。磨いていた歯ブラシを投げ捨てて、一目散にふとんの中に潜り込みました。訳が分からずしばらく恐怖に怯えているうちに、いつの間にか僕は眠っていました。 ●実は、このような体験はその日だけではありません。同じようにバイト明けの朝方、その洗面所で数度にわたって体験しています。自分の顔が、いつのまにか少し違って見え出して、鏡の中で「ニッ!」っと笑うのです。慣れるどころか、気味が悪くて仕方がありませんでした。 僕は、以前までここに住んでいた兄に電話で聞いてみることにしました。ただ、兄は昔から無口で、態度も素っ気ない人なので、弟の僕でも「つき合いづらいな~」と思ってしまうタイプなのです。説明の仕方を悩んだ末に、兄に電話をして事の顛末を話しました。その兄の答えはたった一言、 「俺はあの部屋でそんなの見たことないよ」と、全く相手にしてくれませんでした。 ●ダーク・アサクサさん。兄弟が同じ部屋に住んでも、兄には見えずに僕にだけ無気味な顔が見えるって、どういうことなんでしょうか? もしかして僕は、霊感が強いタイプなんでしょうか? 教えてください。 【追伸】ただ、ちょっと気になることがあります。その鏡の中の顔を見ても、不思議と邪悪な感じがしないのは、どうしてなんでしょうか。 .
【 ダーク・アサクサの見解 】
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イラスト:青木青一郎